まるで毎日が小旅行!?天井クレーンのメンテナンスって、どんな仕事?

まるで毎日が小旅行!?天井クレーンのメンテナンスって、どんな仕事?

愛和産業の仕事は?と聞かれれば、「天井クレーン」の設計・製造・設置・メンテナンスというのが答えです。そうですね、それは確かに事実なんですけど、分かったような、分からないような。そもそも天井クレーンってどんなもの?それをつくって、メンテナンスして…とは、具体的にどんなことをしているの?メンテナンス担当の若手社員、木村さんに基本から聞いてみました。

木村直人|2016年入社
機械工学部卒。就活時は「設計をする仕事」を志望しものづくり企業を中心にエントリー。その中でも、設計・製造から設置後のメンテナンスまで担う愛和産業の総合力に魅力を感じて入社。現在はメンテナンス担当として活躍中。

【基礎知識編】天井クレーンは、ターミネーター2に出てくるアレのこと。

――皆さんがどんな仕事をしているのか聞きたいのですが、その前に、よく考えたら天井クレーンのことをあまり知りません。

木村 私も愛和産業に入社する前は知りませんでした。「クレーン」と聞くと、建設現場で見かけるクレーン車を想像しちゃいますよね(笑)。当社が扱う天井クレーンは主に工場で使われています。ものづくりの現場では大きな鉄の塊とか、人の力で運搬できない重量物を扱う必要がありますが、その際に、工場の天井から吊り下げられたクレーンを使います。その他、物流倉庫などいろんな場面で「重たいもの」を移動させる際に不可欠なのが、天井クレーンです。

――なんとなく、想像がついてきました。工場の天井からワイヤーで大きなフックを吊り下げているアレですね?「ターミネーター2」のラストシーンでT-800が溶鉱炉に沈んでいく時に掴まっていたやつ。

木村 例えが古すぎて逆に分かりにくいですけど(笑)。そうですね、アレも天井クレーンの一種です。アレの仲間たちが日本中の工場で稼働し、現場の作業を手助けしています。その製造やメンテナンスを私たちが担当しているという訳です。

――ピンと来ない若者にはぜひ「ターミネーター2 ラストシーン」でググってもらうとして。かなり大きな構造物を扱っているんですね。

木村 お客様の用途によって大きさ・形状・構造はさまざまで、同じものは一つもありません。製造にあたってはまず、当社の営業と設計がお客様との打合せの中で「どんな使い方をするか」などを伺って天井クレーンの仕様を定義し、設計図に起こします。その後、当社の製造部門が自社工場で製造し、お客様の工場に設置します。無事に稼働を始めた後は、私が所属するメンテナンスチームが月に一度お客様を訪問して定期メンテナンスを重ね、安全に稼働できるように管理していくというのが、おおまかですが仕事の全体像です。

【仕事内容編】現場ではどんな作業をしているんですか?

――月に何台くらいメンテナンスしているんですか。

木村 一つの指標として、本社のメンテナンス担当は現在20名ほどいるのですが、全員で月に150社以上のお客様を担当しています。現場には基本2人以上、1日に4~6チームに分かれてそれぞれ別の現場へ向かいます。定期検査など軽い作業内容のものだとチームで4現場くらい回ることもあります。大規模な修理があったり、1社で複数の天井クレーンを保有しているお客様だと1日1現場くらいのペースで、さまざまな現場を回っています。

――天井クレーンって、日本にどれくらいあるんですか?

木村 製造現場向けの天井クレーンは日本全国に38万機あると言われています。これは、国内の全てのコンビニの店舗数の7倍ちかい数字です。私たちのお客様は東海3県が中心ですが、20名が1年を通じて毎日、違う現場にいく訳ですから、この地区だけでも途方もない数の天井クレーンが稼働していることになりますね。

――具体的には現場でどんな作業をするんですか?

木村 ものを吊り上げたり、移動させるための駆動ユニットを「ホイスト」と言うのですが、そのホイストが正常に動くかどうかの検査…例えばボタンを押して正常に上下左右に動くのか、電気系統のチェックをします。その他、ものを吊り上げるワイヤーロープが老朽化していないか、部品が金属疲労を起こしていないかなど、たくさんの検査項目があります。天井クレーンと言うくらいですから、工場の天井近くまで、だいたい30メートルくらい上まで登って検査することもあります。

――30メートル!怖くないんですか。

木村 怖いです(笑)。でもしっかり安全帯を付けていますし、もう慣れました。ひとくちに天井クレーンと言っても種類が本当にたくさんあって、ものを吊り上げるためのフック部分だけで人間の身長くらいある、スケールの大きなものもあります。同じものが一つもないので、楽しいですね。

【仕事の楽しみ編】毎日が小旅行…ってちょっと言い過ぎかもしれないけれど。

――木村さんがこの仕事を続けられている理由はなんでしょう?どんなところが楽しいですか?

木村 一番は、毎日いろんな現場に行けることです。基本は東海3県のさまざまな土地を回っていますが、たまに浜松や滋賀など遠くの現場もあります。片道2時間かけて車で移動する、なんだかちょっとした小旅行ですよね。日々、違う土地に行けるし、作業内容も現場によって違うので変化があって楽しいです。

――ちなみに、どんな1日を過ごしていますか?

木村 ごく最近の例だと…。朝は8時半が定時ですので、その少し前には出社します。それで、8時半から車に荷物を積み込んで、出発です。その日の現場は中津川でしたので、だいたい片道1時間半くらい。10時には現場について、作業開始です。7台の天井クレーンが稼働している工場でしたので、先輩たちと手分けをしながら1台ずつ点検を行いました。

――お昼ご飯はどうしていますか?

木村 その日は、13時には現場の作業を終わらせてそこから昼休憩でした。私は弁当持参。でも、コンビニ弁当のほう多いです。先輩たちも同じで、だいたい近隣のコンビニにみんなで移動して弁当を買って車中で食べています。ごくたまにですが、現場の近くに美味しいラーメン屋さんなどがあれば、みんなで食べに行くこともあります。1時間くらい休憩をして、14時には現地を出発。また1時間半くらいかけて帰社しました。

――車中の時間が多いんですね。

木村 そうですね。もっと遠い現場だと、1日のほとんどを移動に費やすこともあります。ただ、この移動時間を利用して先輩が仕事のレクチャーをしてくれるので、けっこう大切な時間です。今日の現場での作業内容を聞いたり、知らない知識を教えてくれたり。専門知識が必要な仕事で、覚えることがたくさんありますので、車中の時間にできるだけ先輩の知識を吸収しようと努めています。もちろん、仕事以外の話もします。こうした時間の繰り返しが、先輩との距離を縮める役に立っている一面もあります。

【仕事の心構え編】お客様のことを考えるということ。

――この仕事をしていて嬉しいことってなんでしょう?

木村 やっぱりお客様が喜んでくれることです。急な修理が入って現場に駆けつけ、不具合を見つけてすぐに復旧できたときは、すごく喜んでもらえます。その瞬間にもらえる「ありがとう」が、一番嬉しいですね。天井クレーンが稼働しなければお客様の工場がストップしてしまいますので、自分の仕事の重要性を感じます。

――でも、大変なこともありますよね?

木村 老朽化が進んだ天井クレーンの修理だと、部品をほぼ全て交換する必要があるので1日がかりの作業です。それは、大変ですね。中には、ほとんど一から作り直すくらいの作業になるケースもあります(笑)。ただ、大変なんだけど、やり終えた瞬間は達成感があります。

――仕事をする上で、大切にしていることはなんですか?

木村 お客様のことを考えることだと思います。普段、どんな使い方をしているのか、何がどうなればお客様の仕事がやりやすくなるのか。そんなことを考えながらメンテナンスや、修理にあたっています。そうすると、決められたメンテナンス作業だけではなく「ここは、こうしておいた方がお客様の仕事が楽になる」という提案ができるようになります。小さな気遣いを重ねて、お客様に喜んでもらえる仕事をすることが、一番大切なんじゃないかなと思っています。

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